リバレンス代表の上野です。
先日、当社で開発したタスク管理サービス「flownudge」を公開しました。今日はその宣伝……ではなく、作りながらずっと考えていたことを書きます。少し長くなりますが、これは私にとって、ただの新サービスの話ではないからです。
タスク管理が続かないのは、意志のせいじゃない。ずっとそう言いたかった、という話です。
白状すると、私はタスク管理が続かない人間です
業務効率化を仕事にしている私ですが、白状すると、私自身はかなりの多動気質です。
朝、今日やることをきれいに並べる。3つ目に取りかかったあたりで、ふと別のアイデアが頭に浮かぶ。「これは今やらなくていい」と分かっているのに、気づけばそっちに没頭している。夕方、朝のリストを見返すと、消えているのは1つか2つ。代わりに、リストにないことを3つやっている。予定を立てた自分と、実行している自分が、別人なんです。
タスク管理ツールも、それこそ何種類も使いました。そのたびに、同じ結末を迎えます。最初の3日は気持ちよく使える。1週間で「この機能があればいいのに」という物足りなさが顔を出す。2週間で、書いたタスクを忘れる。そして1ヶ月後には——タスク管理ツールを開くこと自体を、忘れている。 ツールに書いた瞬間に安心して、二度と見ないんです。書きかけのメモだけが、いくつものアプリの中に化石のように残っていく。
心当たりのある方、いませんか。私は、この繰り返しに本気で悩んできました。
「怠惰」と呼ばれてきたものの、正体
こういう話をすると、世間の答えは決まっています。「だらしない」「意志が弱い」「習慣化の努力が足りない」。私自身、長いことそう思って、自分を責めてきました。続かないたびに、また意志のせいにして、また新しいツールを探して、また続かない。
でも、あるとき気づいたんです。
世の中のタスク管理ツールは、几帳面な人が作った、几帳面な人向けの道具なんですね。プロジェクトを分類して、タグを付けて、優先度を設定して、期日を入れて、毎朝レビューする——きちんと管理できる人には、きっと最高の道具です。でも私のようなタイプには、その「管理」自体が新しいタスクになる。本業より先に、ツールの世話のほうが挫折する。道具に合わせて自分を矯正しようとして、矯正できない自分にまた落ち込む。
冷静に考えれば、おかしな話です。道具が人に合っていないだけなのに、責められるのはいつも人の側なんですから。
そして思うんです。社会的に「怠惰」と呼ばれてしまう人たちは、意外とみんな、これで悩んでいるんじゃないかと。サボりたいわけじゃない。やる気がないわけでもない。むしろ、頭の中は常にやりたいことで溢れている。ただ、その頭の動き方に合う道具が、世の中になかっただけなんじゃないかと。
私が欲しかったのは、たった3つでした
だから、自分のために書き出してみました。「理想のタスク管理」ではなく、「私みたいな人間でも回るタスク管理」に必要なもの。出てきたのは、たった3つです。
①思いついた瞬間に、放り込めること。 アイデアやタスクが浮かぶのは、机の前ではありません。移動中、風呂の中、別の作業の真っ最中。その瞬間にアプリを開いて、カテゴリを選んで、入力して——では間に合わない。声でそのまま放り込めれば、思いつきは消えない。 浮かんだものを取り逃がさない入口が、まず欲しかった。
②見に行かなくても、向こうから来ること。 毎朝きちんとツールを開ける人は、そもそもタスク管理に困っていません。私に必要なのは、定期的に通知が来ること。開けば「今日の分」だけが勝手に目に入ること。「思い出す」という仕事を、自分の脳から道具に移すこと。能動的に管理するのではなく、受動的に管理されたい——本音を言えば、そういうことです。
③入力すら、任せられること。 打ち合わせのあと、決まったことをタスクに書き起こす。この作業が、いちばん後回しになります。録音さえあれば、そこからタスクの候補を拾い出してくれて、こちらは「やる・やらない」を選ぶだけ。入力を頑張るのではなく、取捨選択だけが人間の仕事であってほしい。
数年前なら、この3つは全部、ただの願望でした。でも今は違います。AIが実用になって、「だらしない人間のための道具」が、本当に作れる時代になった。 それに気づいたときは、正直、興奮しました。誰かが作ってくれるのを待つ理由が、もうない。
だから自分用に作りました。使ってみたら、自分には効いた。予定を立てた自分と実行する自分の距離が、少し縮まった。それで「これは表に出しても面白いんじゃないか」と思って、今回ローンチした——経緯としては、それだけです。
正直に言うと、売上はあまり気にしていません。ただ、もしちゃんと使ってくれる人がいたときに、このサービスを続けていける——その分の値段だけ、置かせてもらっています。
気づけば、本業と同じことをしていました
作り終えてから、気づいたことがあります。これは、当社が本業でやっていることと、まったく同じ構造でした。
当社のBPOは「頑張らなくても業務が回る状態」を作る仕事です。担当者の意志や記憶力に頼った業務は、必ずどこかで止まる。だから、意志に頼らない仕組みに置き換える。flownudgeがやっているのも同じです。「今日やることを覚えておく」「ツールを開くのを忘れない」という意志の仕事を、設計で消しているだけ。
会社の業務も、個人の頭の中も、同じなんです。意志で回す仕組みは、仕組みではない。 意志は、もっと大事なこと——何をやるか、何をやめるか、どこへ向かうか——のために取っておくべきものだと思っています。
まとめ
- タスク管理が続かないのは、怠惰でも意志の弱さでもなく、道具の設計が合っていないだけ。責められるべきは人ではなく設計
- 必要だったのは「思いついた瞬間に放り込める」「向こうから来る」「入力すら任せて、選ぶだけ」の3つ。AIの実用化で、これがついに作れるようになった
- 意志に頼らない設計——会社の業務改善も、個人のタスク管理も、構造は同じ。意志はもっと大事なことのために取っておく
flownudgeは無料から使えます。きちんと管理できる人のためのツールは、世の中にもう十分あります。これは、私と同じように「ツールごと忘れる」側の人間のための道具です。 同じ悩みを持つ方にこそ、試してみてほしい(flownudgeを見てみる)。
当社は「自由を創る・余白を創る」を掲げています。頑張って回すことから人を解放して、考える余白を返す——その一つの形として、この道具を育てていきます。続かなかった経験の数だけ、続く設計が分かる。そう信じて作りました。
このコラムでは、経営と業務について考えていることをそのまま書いています。






