リバレンス代表の上野です。
第1回のコラムで、WixからNext.js+microCMSへのサイト移行を書きました。あれから1ヶ月。今回はその結果を、数字でそのまま公開します。
先に、移行の目的を書いておきます。これまで当社の問い合わせは広告経由が主軸でした。移行の狙いは、記事からの検索流入=オーガニック経由の問い合わせという、二本目の柱を作ること。その1ヶ月目がどうだったか。良かった数字だけ見せるのは発信として不誠実だと思うので、うまくいった3つと、失敗した3つを同じ温度で書きます。
うまくいった数字 3つ
①月間セッションが123→838。約6.8倍になった。
移行前の7月、旧サイトのセッションは月123でした。移行後の8月は838。約6.8倍です。
ただし、これを「移行の成果」とそのまま読むのはフェアではありません。理由は2つ。移行と同時にブログの更新を週2本に増やしたので、伸びの主因は器ではなく記事です。もう1つ、以前noteに置いていた記事を自社ドメインへ引っ越したため、これまでnoteに流れていた検索流入が自社サイトに付け替わった分が上乗せされています。それでも「記事を足せば伸びる器になった」「流入が自社の資産として貯まるようになった」こと自体が、移行で手に入れたものだと考えています。
②一部の記事に、検索流入がはっきり集中し始めた。
記事別に見ると、フィルタ表示の解説記事が単独で表示1,135回と突出しています。2位の記事に倍近い差。つまり「たくさん記事を書いたから伸びた」のではなく、特定の記事が検索の入口として機能し始めたということです。コンテンツは平等に伸びません。当たりが出たら、その周辺を厚くする——次の一手が数字から決まります。
③公開1週間でクリック率7.0%の記事が出た。
8月後半に出した「Excelのマクロと共同編集」の記事は、公開1週間で表示71回・クリック率7.0%・平均順位6.6位。表示回数はまだ少ないものの、クリック率は全記事で最高です。この記事は「Microsoft公式の一次情報で俗説を正す」という型で書いたもので、型が当たったという手応えがあります。同じ型の記事を9月も続けています。
失敗した数字 3つ
①広告費の88.7%が、無関係な検索に消えていた。
これは正直、書くのが恥ずかしい数字です。8月の検索広告の検索語句を全件分析したところ、費用の88.7%が自社サービスと無関係な検索(他社ツールの指名検索や、漠然としたビジネス用語)に流れていました。原因は、AIによる検索意図の自動拡張に任せすぎたこと。「順番が大事」「まず棚卸し」と言っている会社が、自分の広告では棚卸しを後回しにしていたわけです。月末に全キーワードを見直し、拡張を止めて、除外を積みました。9月の数字で答え合わせをします。
②表示460回でクリック1回の記事がある。
検索結果に460回表示されて、クリックされたのは1回。クリック率0.2%です。順位も12位で、あと少しの位置にいるのに選ばれていない。タイトルが検索した人の言葉と噛み合っていない、ということです。この記事は今週、タイトルと構成を作り直します。書いた記事は放置せず、数字を見て直す——これも移行して計測を整えたからできることです。
③そして、オーガニック経由の問い合わせは、まだ0件。
一番大事な数字を最後に書きます。この1ヶ月、記事・検索経由の実質的な問い合わせは0件です(届いたのは広告の営業メールのみ)。冒頭に書いた「二本目の柱」は、まだ1円も生んでいない。これが現在地です。
ただ、これを「移行は失敗だった」とは考えていません。検索で人が来始めてから問い合わせが動くまでには時差があります。焦って派手な施策に飛びつくのではなく、記事と受け皿(LP)を直し続けて待つ——ここで順番を崩したら、それこそ本末転倒なので。
1ヶ月やって分かったこと
まとめると、この1ヶ月でやったことは、実はとてもシンプルな型の繰り返しです。
- 目的を決める——オーガニック経由の問い合わせという二本目の柱を作る
- 現状を棚卸しする——アクセス、記事ごとの数字、広告費の流れ先を全部並べる
- 一番効く場所から直す——当たった記事の周辺を厚くし、外れた記事を作り直し、無駄な広告費を止める
派手なことは何もしていません。でも棚卸しをしたから、88.7%の無駄にも、クリック率0.2%の記事にも気づけた。気づけたから、その週のうちに直せた。数字を見る仕組みが先、改善はその結果です。目的→棚卸し→改善。この順番さえ守れば、施策は勝手に決まっていきます。
そしてお気づきの方もいるかもしれませんが、これは当社がお客様の業務に対してやっていることと、まったく同じ型です。散らかったExcelやスプレッドシートを棚卸しして、数字が見える状態を作り、一番効く場所から仕組みに変えていく。自社のマーケティングも、お客様の業務改善も、順番は変わりません。今回の記事は、その型を自社で実演した1ヶ月の記録でもあります。
来月も、数字が溜まったらまた公開します。二本目の柱が最初の1件を生むまで、この連載で見届けてもらえたら嬉しいです。
「うちの業務も、まず棚卸しから見てほしい」という段階のご相談も歓迎です(お問い合わせはこちら)。
このコラムでは、経営と業務について考えていることをそのまま書いています。






