リバレンス代表の上野です。このコラムでは、SEO記事とは別に、経営者として考えていることや自社でやってみたことを、実際の数字と一緒に書いていきます。

第1回は、7月に実施した自社サイトの移行の話です。結論の数字から出します。

項目

結果

期間

2026年7月20日頃から約1週間

外注費

0円(制作会社に出せば一般に100万円規模になる内容)

ランニング費の増分

0円(旧Wixの年額30,360円がそのまま純減)

体制

経営者1人+AI2役

「AIで業務効率化」という話は世の中に溢れていますが、具体的に誰が・何を・どう分担したのかまで書かれた事例は意外と少ない。なので自社の一次情報として、うまくいった部分もつまずいた部分も残しておきます。

なぜWixを出たのか——「削減」ではなく「自由度」の話

先に断っておくと、Wixが悪いサービスだという話ではありません。ノーコードで綺麗なサイトが作れて、当社も長く使いました。

遡れば会社の立ち上げ時期に簡単にサイトを作れたWixにはお世話になりました。

出た理由は、やりたい打ち手が増えるたびに、できないことにぶつかるようになったからです。広告用のランディングページを細かくテストしたい。問い合わせフォームのデータを自社のデータベースに直接貯めて、通知や集計につなげたい。計測の設計を自分で握りたい。——こういう「マーケティングの打ち手」を積もうとすると、既製プラットフォームの枠が先に来る。

つまり動機はコスト削減ではありませんでした。年3万円の削減のために1週間使うのは、経営判断としては割に合いません。同じコスト以下で、打ち手の自由度を桁違いに上げる。これが目的で、コスト減は結果です。

分業の実際——AIは2役に分けた

体制はこうでした。

役割

担当

具体的にやったこと

戦略・要件定義

AI(Claude)

移行手順の設計、実装への指示書作成、トラブル時の切り分け

実装

AI(Claude Code)

コードを書く、検証する、結果を報告する

判断・操作

私(人間)

方針の決定、各サービスの管理画面の操作、最終確認

ポイントはAIを1つではなく2役に分けたことです。戦略担当のAIと壁打ちして方針を固め、確定した指示書を実装担当のAIに渡す。実装側は書いたコードの検証結果まで報告してくるので、私は「承認するか、差し戻すか」を判断するだけ。

私がやったのは、判断と、人間にしかできない操作(上がってきた成果物のレビュー、ドメイン管理画面、DNS設定、各サービスの契約まわり)です。時間で言えば、集中していたのは夜の数時間×数日。日中は普通に本業をしていました。

つまずいた点も書いておく

順調な話だけでは事例として役に立たないので、実際に手が止まった箇所も書きます。

一番慎重になったのはドメインの切り替えです。Wixの方でGoogle Work Serviceの契約をしていたので、ここを失敗すると、サイトだけでなく会社のメールが止まる。AIは手順書を完璧に用意してくれますが、切り替えボタンを押すのは人間で、押した後の数十分は正直落ち着きませんでした(結果は問題なし。事前にメール関連の設定を全部並行移行しておいたのが効きました)。

移行後にも細かい問題は出ました。例えば、SNSでサイトのリンクを貼ったときに表示される画像(OGP画像)が正しく出ない問題。原因の切り分けから修正まで、これもAIとの分業で解決しましたが、「移行が終わった=完了」ではなく、公開後に細かい調整が続くのは、制作会社に頼んだ場合と同じです。

それから、AIに任せられないことは明確にあります。各サービスの契約変更、支払い、管理画面のボタンを押す操作、そして「どこまでやるか」の判断。AIは選択肢と根拠を出すのが得意ですが、決めるのは人間です。ここを混同すると事故になると思います。

これは、私たちがお客様に勧めていることの実演でもある

最後に、少しだけ本業の話をします。

当社は「業務の効率化は順番がすべて」と言い続けています。いきなり新しいツールを入れるのではなく、まず今ある業務を棚卸しして、標準化して、それから移行や自動化に進む。今回のサイト移行は、まさにその手順でやりました。旧サイトの構成を全部洗い出し、残すもの・変えるものを決めてから、AIに実装させる。順番を守ったから1週間で済んだのであって、いきなり作り始めていたら倍以上かかっていたはずです。

今のAI黎明期の世の中で、とりあえず「AIを入れた方がいい」という企業が多いですが、ただ導入すればいいのではなく自社で何をしたいか、どこにメスをいれればパフォーマンスがいいかの棚卸しが必要です。

「AIに何かやらせたい」から入ると、たいてい迷子になります。業務が整理されている会社ほど、AIは速く効く。これは今回、自分の会社で確かめられたことです。

このコラムは月2回ほどのペースで、こういう実践の記録を書いていきます。サイト移行やAI分業について「うちの場合はどうなる?」という相談も歓迎です(お問い合わせはこちら)。


数字はすべて自社の実施記録(2026年7月)に基づきます。制作費の相場観は案件規模により大きく変動するため、あくまで一般的な目安です。