「顧客データを整理したい」というご相談をいただいたとき、当社が最初に行うのは、データを直す作業ではありません。どの業務で、誰が、どのファイルに、何を入力しているのかを書き出す「棚卸し」です。
その理由は、何を直すべきかが決まっていないまま整えても、直した場所とは別の場所から、また同じ問題が生まれるからです。棚卸しがなぜ必要かは、AI導入がうまくいかない会社が、導入の前に飛ばしている3つの工程にも書いています。
この記事では、業務とデータの棚卸しを外に頼んだときに、実際に何をして、手元に何が残り、いくらかかるのかを、当社リバレンスの進め方を例に書きます。
棚卸しで、実際に何をするのか
棚卸しで行うのは、今の状態を「見える形」にすることです。データを直すのではなく、直す対象と順番を決めるところまでが役割です。当社では、次の順に進めています。
- ヒアリング 対象の業務に関わっている方に、日々の作業の流れをうかがいます。「この数字はどこから持ってきていますか」「このファイルは誰が更新していますか」といったことを、実際の画面を見ながら確かめます。
- どこに何があるかを一覧にする 顧客の連絡先、見積の履歴、問い合わせの履歴など、データの種類ごとに、どのファイルやツールに、どの形で、何か所にあるのかを書き出します。
- 入力している場所を図にする 受注から請求までの流れの中で、同じ情報をどことどこに入力しているのかを図にします。二重入力や、担当者しか知らない手順が、ひと目で分かるようにします。
- 課題を分けて、着手の順番を決める 見つかった課題を、「揃える(表記や形式を統一する)」「減らす(重複した入力やファイルをなくす)」「自動化する」の3つに分け、どれから手を付けるかを決めます。
- 報告 結果をまとめてお渡しし、どこから進めるかを一緒に決めます。
「表記が揃っていない」という相談も、棚卸しをすると、原因が入力する場所の多さだった、と分かることがよくあります。その場合、先に直すべきなのはデータではなく入力の場所です。揺れが生まれる仕組みは、顧客データの「揺れ」はなぜ起きるのかで解説しています。
手元に残る3つのもの
棚卸しが終わると、次の3つが手元に残ります。
- 棚卸し表: どのデータが、どこに、どの形で、何か所にあるかの一覧です。「顧客の連絡先が3か所にある」といった状態が、表で分かります。
- 現状フロー図1枚: 業務の流れと、その中で入力している場所をすべて書き込んだ図です。同じ内容を何度入力しているかが、ひと目で分かります。
- 課題リスト: 見つかった課題を「揃える・減らす・自動化する」に分け、着手する順番を付けたものです。
この3つは、その後の作業を当社に頼まなくても使える形でお渡ししています。社内で進める場合も、別の会社に頼む場合も、この資料をそのまま依頼の前提にできます。何をどの順で直すかが決まっていれば、その後の見積もりも比べやすくなります。
費用の目安と、変わる条件
業務の流れを見える形にして課題を洗い出す仕事は、一般に「業務フローの可視化・分析」として業務改善コンサルティングが受けています。その費用は、この部分だけなら約30万〜100万円、改善策の設計まで含めた中小企業の部門単位の支援で約50万〜200万円が目安とされています(マネーフォワード クラウド)。この場合、改善策の実行は含まれないことが多いとも書かれています。
当社では、棚卸しを中心に、次の2つのプランでお受けしています。どちらも、お見積り後の金額は固定で、作業時間に応じた請求はしていません。
棚卸し+整理プラン: 50万円(税抜)〜
- 対象: 複数の業務や部署にまたがる場合、または「何から手を付けるか」から相談したい場合
- 進め方: ヒアリング2回→棚卸し→報告→整理→運用ルール
- お渡しするもの: 棚卸し表、現状フロー図1枚、課題リスト、整理済みデータ、運用ルール1枚
整理プラン: 30万円(税抜)〜
- 対象: 業務1本で、直す範囲がある程度見えている場合
- 進め方: 簡易診断(ヒアリング1回)→整理→運用ルール
- お渡しするもの: 整理済みデータ、運用ルール1枚、整理前後の入力箇所数の比較
直す範囲が決まっている場合も、簡易的な診断は必ず工程に含めています。今の状態を知らないままでは、正しく直せないからです。
金額は、次の条件で変わります。無料の30分ヒアリングでうかがってからお見積りをお出しします。
- 対象のファイルの数とデータの量: 同じ情報がいくつのファイルに分かれているか
- 関わる人の数: 誰が、どのタイミングで入力・更新しているか
- 業務や部署の数: 1つの業務で完結するか、複数の部署にまたがるか
給与や税務など機密性の高いデータは、閲覧の権限や作業者の限定など、別の条件でお受けしています。
棚卸しの後に何をするか
棚卸しで課題と順番が決まったら、そこから先は大きく2つの進め方があります。
- 一度整えて、その後は社内で回す: データを揃え、入力する場所を1つにして、「誰が・どこに・どう入れるか」を運用ルール1枚にまとめます。ここまでが、上の2つのプランの範囲です。
- 日々の整形や更新も、外に任せる: 毎月増えるデータの整形、重複や表記のチェック、集計の仕組みづくりまで任せたい場合は、月額のスプレッドシート業務代行で続けてお受けしています。月額で何をどこまで頼めるかは、月額198,000円で、何をどこまで頼めるのかにまとめています。
棚卸しの結果、ツールの導入をおすすめすることもあります。当社は特定のツールを販売していないので、今の状態に合うものをそのままお伝えします。
向いている会社、向いていない会社
棚卸しから頼むのが向いている会社
- 「データがごちゃごちゃしている」ことは分かっているが、どこから手を付ければよいか分からない
- 同じ情報を、何か所ものファイルやツールに入力している
- 一度整理したのに、しばらくすると元に戻ってしまった
- CRMやAIツールを入れる前に、今の状態を把握しておきたい
別の頼み方が合う会社
- 直す場所は分かっていて、手を動かす人が欲しい → 月額の業務代行で、日々の整形からお任せいただく方が合っています
- 1つのリストの表記や重複を、一度だけ整えたい → 件数単価のデータクレンジングのサービスのほうが安く済みます
- 全社の業務を横断して見直したい → 業務改善のコンサルティング会社が適しています
まとめ
「データを整理したい」と思ったとき、最初に必要なのは、データを直す作業ではなく、どこに何があり、何をどの順で直すかを決める棚卸しです。外に頼むと、棚卸し表・現状フロー図・課題リストの3つが手元に残り、その後を社内で進めるにも、別の会社に頼むにも使えます。
リバレンスでは、無料の30分ヒアリングで今の状態をうかがい、どちらのプランが合うか、そもそも当社が合っているかも含めてお伝えします。
まずは今の状態だけ確かめたい方は、10問・1分の診断から始めることもできます。個人情報の入力は不要です。
参考にした情報
- 業務改善コンサルの費用相場と料金体系|失敗しない選び方は?(マネーフォワード クラウド)
相場は2026年10月時点で確認した、出典の公開情報に基づきます。






