リバレンス代表の上野です。

今回は、私が普段から思っている言葉について書きます。「頑張るな。楽をしろ」です。

真面目な人ほど、この言葉に引っかかると思います。楽をしろとは何事か、と。でもこれは怠けろという話ではありません。頑張らなくても回る状態を先に作った人だけが、楽をする権利を持つ——そういう話です。

頑張りで回る業務は、頑張れなくなった瞬間に止まる

業務が回らないとき、真面目な会社ほど「もっと頑張る」で解決しようとします。締め日前の残業、担当者の気合い、休日の持ち帰り。そして実際、それで乗り切れてしまう。だから来月も同じことをする。頑張りが評価される会社なら、なおさらです。

でも冷静に見ると、頑張りで回している業務は、頑張れなくなった瞬間に止まります。担当者が体調を崩す、辞める、育休に入る。そのとき残るのは「あの人しかやり方を知らない業務」です。頑張りは、属人化の最大の温床なんです。

これは相談を受けていて、本当によく見る光景です。「月末の集計はAさんが毎回3時間残業して仕上げている」「請求書のチェックはBさんの目が頼り」。話を聞くと、AさんもBさんも優秀で、責任感が強い。だから回っている。そして経営者は「うちは人に恵まれている」と思っている。優秀な人がいる会社ほど、この罠に深くはまります。 優秀な人は仕組みがなくても回せてしまうから、仕組みを作る動機が生まれないんです。

私は頑張っている人を否定したいのではありません。頑張りが必要な状態のまま放置されている業務を問題にしています。

経営者自身が、一番頑張ってしまっている

もう一つ、よくあるパターンがあります。頑張っているのが従業員ではなく、経営者本人というケースです。

数字の確認、請求の管理、顧客対応、採用、営業。全部を自分でやっている。朝から晩まで作業に埋まっていて、気づけば一週間、経営らしいことを何も考えていない。小さな会社では珍しくありません。私自身、創業してしばらくはそうでした。

これも構造は同じです。経営者が頑張って回している業務は、経営者が動けなくなった瞬間に止まる。しかも経営者の時間は、本来「考えること」に使うべき、会社で一番高い時間です。作業に埋まった経営者は、会社の一番高い時間を、一番安い仕事に使っていることになります。

「楽をする」とは、頑張らなくても同じ結果が出る状態のこと

では「楽をしろ」とはどういうことか。当社で言う楽とは、大げさなシステムを入れることではありません。定義はシンプルで、「誰がやっても、頑張らなくても、同じ結果が出る状態」です。

  • 毎月手で集めている数字が、決まった形式で自動的に溜まっている
  • 引き継ぎ資料を作らなくても、日々の業務そのものが手順として残っている
  • 「あのファイルどこ?」が起きない置き場所のルールがある
  • 誰かの目に頼っていたチェックが、条件で自動的に弾かれる

どれも地味です。派手な効率化ではない。でもこの状態になると、担当者は「頑張る」から解放されます。そして経営者は、進捗を確認するために人を呼ばなくてよくなる。

当社自身の話をすると、サイトのアクセスや問い合わせの数字は、毎週決まった朝に自動で集計されて手元に届きます。SNSの投稿は週に一度まとめて仕込むだけで、毎日出ていく。問い合わせが来れば、記録と通知が自動で走る。私が毎日頑張って集計したり投稿したりしているわけではありません。頑張らなくていい状態を、先に作った。それだけです。

ここで大事なのは順番です。楽をするためには、最初に一度だけ手を打つ必要があります。仕組みを作る一週間は、正直、頑張ります。でもその一週間の頑張りは、以降ずっと頑張らなくて済む状態を買うための投資です。毎月頑張り続けるのと、一度頑張って終わらせるのは、同じ頑張りでも意味がまったく違います。

順番は「いま一番頑張っている場所」を見つけることから

何から手をつけるか。私の答えは、「いま一番頑張っている場所」を見つけることです。

残業が集中している業務。特定の人に質問が殺到している業務。休まれると困る業務。そこが、頑張りで回っている場所です。そこを一つ、頑張らなくていい状態にする。全部を一度に変える必要はありません。むしろ一度に変えようとすると、それ自体が新しい頑張りになって失敗します。

一番頑張っている場所を一つ。それが片づいたら、次に頑張っている場所を一つ。この繰り返しで、会社の景色はかなり変わります。

浮いた余力は、考えることに使う

頑張らなくてよくなると、余力が浮きます。その余力を、また別の作業で埋めてしまう会社が多い。それでは意味がありません。

浮いた余力は、作業ではなく、考えることに使う。次に何をやるか、何をやめるか、お客様に何を提供するか。これは経営者にも現場にも当てはまります。効率化のゴールは、時間を削ることではなく、頑張らなくても回る土台の上で、考える余白を持てることだと思っています。

当社は「自由を創る・余白を創る」をビジョンに掲げています。少し大げさに聞こえるかもしれませんが、やっていることは本当にこの記事の話そのものです。頑張りで埋まっている業務を仕組みに渡して、人が頑張らなくていい状態を作る。そこで生まれた余白が、次の一手を考える自由になる。自由も余白も、精神論ではなく、仕組みの結果として生まれるものだと考えています。

だから「頑張るな。楽をしろ」なんです。楽をした先で、初めて考えられる。そこから先が、会社が本当に前に進む時間です。

まとめ

  • 頑張りで回している業務は、頑張れなくなった瞬間に止まる。頑張りは属人化の温床
  • 経営者自身が一番頑張っているケースも多い。それは会社で一番高い時間を、一番安い仕事に使っている状態
  • 楽とは「誰がやっても、頑張らなくても、同じ結果が出る状態」。最初に一度だけ手を打つ
  • 順番は、いま一番頑張っている場所を一つ見つけて、そこから
  • 浮いた余力は作業で埋めず、考えることに使う。その余白が、自由を創る

「うちで一番頑張っている業務はどこか」から一緒に考える相談も歓迎です(お問い合わせはこちら)。


このコラムでは、経営と業務について考えていることをそのまま書いています。